これまでの短歌

内田康夫の作品
内田康夫の落款
早坂真紀の作品
早坂真紀の落款

夏

2017年6月1日

  • 突風に 吹き寄せられたる 花びらの 去年の枯れ葉と 肩寄せ合う
  • 老けたなと 妻の横顔 見つめれば 同じ時間を ぼくも生きてた
  • 目の冴えて 暗き夜空に 星のごと 夜間飛行に 疼く旅ごころ
  • 人生に 一度は必ず あるはずと これから起きる 奇跡まちをり
  • 涙より 笑いが薬と 聞いたから 今日も夫と クスリクスクス
  • 窓際の 瓶に一差し レンギョウの 影の動きて 黄昏を知る

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春

2017年5月12日

  • この先を どうしようかと 思いつつ 途絶えたままの 孤り行く道
  • わが著書の タイトル聞けば 目に浮かぶ あの日あの頃 取材の先々
  • 新年を 迎える汽笛に 船上で 妻の背中を 抱いた思い出
  • 明日こそは 病いよ治れと 願いつつ 目覚めてみれば 明日はまた明日
  • 突然に 天丼の味 思い出し ここを抜け出し 食いに行きたし
  • 裏庭の 木イチゴの 白き花 思い胸はずませた ジャムの算段
  • 離れれば なぜか哀しく そばにいれば 早く逃げたい 夫の荒れる日
  • カーテンを 引く手を止めて おぼろ月 夫も見てるか 同じ心で
  • あと一度 一度でいいから 抱きしめて 片手でなくて 両手で強く
  • フルートの 運指もわすれ 音も出ず ゆとりなきまま 過ぎた時間よ

2017年3月21日

  • 思えども 思い通りに いかぬ腕 なぜこのやまい なぜこのやまい
  • ぼくはまだ 生きているのに心電図(死んでんず) 折れ線グラフの 今は谷底
  • 車椅子 目の位置低く なりし今 見えぬものより 見えるもの多し
  • 苦しげに また楽しげな 夫(つま)の顔 夢路にまどうか うたた寝のとき
  • 「おはよう」と ドアから顔を のぞかせば 待ちかねてたと はじける笑顔
  • うれしげに 「あのね、ゆうべね…」 夢みたと ことばを探して 「うれしかった」と

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